ヒトリガの特徴と生態

昆虫

「ヒトリガ」はヒトリガ科の蛾の仲間全体を指すこともありますが、この記事では「ヒトリガ」という種について解説します。

ヒトリガ Arctia caja

基本データ

分類チョウ目 ヒトリガ科
学名Arctia caja
分布日本(北海道、本州)、千島列島、シベリア、サハリン、朝鮮
生息環境丘陵地や山地
大きさ開張(翅を拡げた大きさ):48-80mm
成虫の出現時期8-9月
食草クワ科、キク科、スグリ科、オオバコ科、シソ科、アサ科などさまざまな植物

幼虫は『クマケムシ(熊毛虫)』モフモフでかわいい!

終齢幼虫

ヒトリガの幼虫は、「クマケムシ」とも呼ばれます。
その名の通り、黒い毛むくじゃらの体が熊っぽいですね。

とても歩くのが速く、山地の道路上を横断している姿も時折見かけます。幼虫の移動能力は他の種類に比べて高そうな印象。

「ザ・毛虫!」という見た目ですが、刺すことはありません

こんなふうに手に載せても刺しません。ふわふわモフモフで可愛らしいですよ。

ただし、皮膚の弱い人やアレルギー体質の人は毛の刺激でかゆみなどが出る場合もあるそうなので、体質によっては注意してください。

ヒトリガの名前の由来

成虫の顔

ヒトリガは、漢字で「火取蛾」「灯取蛾」「火盗蛾」などと書きます。

その由来は、夜行性で灯火に集まることから。ヒトリガに限らず蛾の多くは灯火に集まりますが、なぜこの蛾にその名が与えられたのかが不思議ですね。

ちなみに「火取虫」は夏の季語でもあります。ただ、これは灯火に集まる蛾全般を指しているようですので、正確にヒトリガという蛾が認識されていたわけではないのかもしれません。

さらにヒトリガは「飛んで火に入る夏の虫」ということわざのモデルになった虫とも言われており、灯火にやって来る蛾の代表的なものとして見られていたようです。

ヒトリガの餌は?いろいろな葉を食べる広食性

タンポポの葉を食べるヒトリガ幼虫

ヒトリガは広食性で、さまざまな植物の葉を食べます。

クワ科やキク科、オオバコ科、シソ科などなど・・・

タンポポギシギシなどの葉についているのも見たことがあります。身近な植物を食べるので、餌が確保しやすく飼育しやすいですね。
我が家ではタンポポの葉で中齢から飼育し、途中からヨモギに切り替えましたがよく食べてくれています。

ヒトリガの一生

ヒトリガの幼虫は夏~秋頃に孵化し、中齢まで成長した後、越冬します。

中齢幼虫

4月~5月くらいになると活動を再開。

脱皮

脱皮をする度に黒っぽく、毛も長くなっていきます。

終齢幼虫

終齢幼虫になると、60mmほどにまで成長。

6月~7月頃になると、吐いた糸と自分の毛を使って繭を作ります。長い毛はこの時に大部分が抜けますが、短い毛は残っているようです。

成虫

8月~9月頃に羽化。美しい成虫になります。幼虫も黒とオレンジの毛でしたが、クマケムシの姿とは似ても似つかない綺麗な蛾です。

成虫は秋までに交尾と産卵をして死んでしまいます。

まとめ

山に出かけると見かける機会も多いヒトリガの幼虫。

いろいろな葉っぱを食べるので餌も手に入りやすく飼育も簡単です。育ててみると面白い発見があるかも?

モフモフな毛虫をぜひ近くで観察してみてくださいね!

参考&おすすめ図書

幼虫を調べるならこの図鑑がおすすめ!

  • イモムシハンドブック(文一総合出版)
    1~3巻まであり、ヒトリガは1巻に掲載されています。

  • 小学館の図鑑NEO・イモムシとケムシ(小学館)
    約1100種掲載されているので、種類を調べたい時に重宝します!

成虫を調べるならこの図鑑がおすすめ!

  • 日本の蛾(学研プラス)
    約3000種掲載。時期や食草なども載っているので、種類を調べたい時に使いやすいです。

  • 『北海道の蝶と蛾』(北海道新聞社)
    北海道在住ならこちらがおすすめ!

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