
こんにちは。こんくりです。
先日、春の女神とも呼ばれる『エゾヒメギフチョウ』を探しに行ってきました。
エゾヒメギフチョウとは、ヒメギフチョウLuehdorfia puziloiの北海道亜種です。
ヒメギフチョウは、同じく春の女神と呼ばれるギフチョウLuehdorfia japonicaとそっくりですが、翅の模様などが微妙に違っている別種です。
北海道にはギフチョウは生息しておらず、ヒメギフチョウが局地的に分布しています。
そんなヒメギフチョウですが、私はまだ出会ったことがありません。今回は、「北海道でヒメギフチョウに逢いたい!」という思いで旭川市に足を運びました。
この記事では、ヒメギフチョウ探しについてレポートしていきます!細かい地名は伏せていますのでご了承ください。
エゾヒメギフチョウとは?
北海道の亜種
ヒメギフチョウは、日本には2種類の亜種が存在します。
本州の東北地方や長野県などに分布する亜種『ヒメギフチョウ』
北海道に分布する亜種『エゾヒメギフチョウ』です。
エゾヒメギフチョウの方が、後翅の色がより暗めになっているようです。
北海道では、石狩低地帯より東側の低山地から山地に分布しています。
エゾヒメギフチョウの分布と観察時期を調べる
図鑑には旭川市や上川郡で撮影された写真が載っており、撮影時期は4月下旬から5月上旬。
ただ、2021年は全国的に春が早い印象でした。Twitterでも4月12日頃から北海道でのヒメギフチョウの目撃例が上がっています。
しかし自分の仕事のお休みと天気の兼ね合いが悪く、なかなか探しに行くタイミングが合いませんでした。
エゾヒメギフチョウ観察記
5月6日、おそらく発生のピークは過ぎた頃でしょうが、せっかくの晴れの休日。自宅から約120km車を走らせ、旭川市へ。
日帰りで行ける距離ではあるけれども、近くでキャンプをして2日間かけて探すことに。
山の中をひたすら探し歩く
1日目は、気温が高く風が強い天気。
山の中を歩き、ヒメギフチョウの姿を探しますがなかなか見つかりません。

山の中には、エゾエンゴサクとニリンソウの花が。

スミレの仲間も咲いています。タチツボスミレでしょうか。
ヒメギフチョウが吸蜜できそうな花はありますが、食草のオクエゾサイシンは見当たらず。
カタクリもこの山では見当たりませんでした。
知人からもらっていた情報では、この山にも生息しているはずですが…、古い情報なのでいなくなってしまったのかもしれません。


スギタニルリシジミとコツバメはたくさんいました(^^)ともに春先のシジミチョウですね。
少し歩くつもりでしたが、ぐるりと登山になってしまいました…。
諦めかけた時、目の前を黄色い蝶が横切りました。大きさ的にも、ヒメギフチョウ!
強い風に吹かれて、ものすごい速さで山裾へ・・・
えーーーせっかく会えたのに!!
結局撮影も採集もできず、存在を確認できただけで1日目は終了。
天気は良くても、風が強すぎるとダメですね(・・;)
カタクリの蜜を吸うエゾヒメギフチョウ
2日目。場所を変えてとある公園へ。こちらは遊歩道や解説板があり、管理されています。
見回りの人もいて植物や昆虫の採集はできないようなので、撮影のみ。

エゾエンゴサクとカタクリが咲き乱れていて、とても綺麗です。

カタクリの花。ヒメギフチョウやギフチョウの吸蜜花として有名ですね。
そしてこの公園で、ヒメギフチョウに会うことができました!

カタクリから吸蜜するヒメギフチョウの写真。かわいいですね。
やっぱり発生が終わりかけのため翅が切れてしまっていますが、それでも見られて嬉しい。

この日も少し風が強かったですが、午前中は穏やかな陽気で春らしい写真を撮ることができました!

交尾をしている個体も。
たくさん子孫を残してほしいですね。
幼虫の食草

幼虫の食草は、オクエゾサイシン。
ウマノスズクサ科カンアオイ属の植物です。スペード型の葉が特徴。
オクエゾサイシンの分布は東北地方から北海道。国外ではサハリンなどにも。
食草のオクエゾサイシンは北海道では全域に生息しているようですが、エゾヒメギフチョウの分布は限られているのが不思議です。
ヒメギフチョウは採集禁止?観察の注意点
ヒメギフチョウは、ギフチョウと同じく各地で数が減っている蝶のひとつです。
環境省のレッドリストでは2021年5月現在、本州亜種・北海道亜種ともに『準絶滅危惧』となっています。
そんな希少なヒメギフチョウですが、採集についてはどのようになっているのでしょうか。
ヒメギフチョウは、本州では長野や群馬県などで村や県の天然記念物とされており、文化財保護条例で採集が禁止されています。
地域によっては、罰則もあるので注意が必要です。
むし社さんの昆虫禁止種のページで情報が一覧になっているので採集したい方はぜひご確認を。
ちなみに北海道では今のところ条例で禁止されている場所はありません。
しかし、公園や植物園など管理されている場所では昆虫採集自体が禁止されている場合があります。
法律や条例で決まっているわけではありませんが、各施設の利用のルールのようなものなので守るようにしたほうが良いですね。
ヒメギフチョウに限らず、希少で美しい蝶やホタルなどは各地で保護活動をしている団体がいます。地元の方とトラブルになると昆虫が好きな人達の全体の印象も悪くなるし、規制が強化されてしまう可能性もあるので場所や限度を守って適正に楽しまないといけないですね。
個人的には、綺麗なものだけそういった保護団体がいるのも感情論的な感じがして複雑な気もしますが…(^_^;)
まとめ
今回はヒメギフチョウをさがしてちょっと遠出をしてみました。
結果、採集はできませんでしたが撮影はすることができました。北海道での昆虫目標を一つ達成・・・かな。
また機会があれば、別の地域でも探してみたいと思います!
参考図書
今回参考にした図鑑です。どちらもチョウといえばコレ!という図鑑なのでおすすめです(*^^*)
- 『北海道の蝶』(北海道大学出版会)
- フィールドガイド日本のチョウ(誠文堂新光社)
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